妊娠・授乳中の新型コロナウイルスワクチンの接種について
日本で接種が行われている、ファイザー社製とモデルナ社製ワクチンは、いずれもmRNAワクチンと呼ばれる新しいタイプのワクチンです。このワクチンは、ウイルス等の毒性を弱めて作られた生ワクチンとは異なり、接種により新型コロナウイルスに感染することはありません。
妊娠中の方へ
アメリカにおけるmRNAワクチンを妊娠中に接種した人の登録調査では、副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度でした。また、流産、早産、死産、新生児の低体重、先天性異常の発生率はコロナ禍以前の調査結果と差がありませんでした。
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、感染していない妊婦と比べて重症化する割合、妊娠高血圧症候群や早産等が多くなります。また、妊婦のICU入院や新生児のNICU入院が増加すると報告されており、ワクチン接種のメリットがあると考えられています。接種時期としては、器官形成期(胎児の基本的な臓器が作られる時期)である妊娠12週までは避け、妊娠13週以降の接種をご検討ください。
授乳中の方へ
このワクチンの性質から、母乳移行量は非常に少ないと考えられています。実際にワクチン接種後の母乳移行について調べた研究では、母乳中にmRNAは検出されていません。また、授乳中のワクチン接種により、新生児が感染することはありません。これらのことから、授乳中のワクチン接種は可能です。また、授乳中にワクチン接種した場合、母乳中に抗体が移行し、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています。
ワクチン副反応時の解熱鎮痛剤
ワクチン接種後、特に2回目接種後は、多くの人に発熱、頭痛、倦怠感などの副反応が起こります。これはワクチンに対する免疫反応のひとつで、数日で軽快します。接種後の発熱・頭痛に対して、妊娠中はアセトアミノフェンが使用可能です。薬局でお求めの場合は、「アセトアミノフェン単剤のもの」と薬剤師にお伝え下さい。授乳中はアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェン・イブプロフェン等)が使用可能です。
ワクチン後も予防策を
ワクチン接種により、感染や重症化の可能性を低く抑えることが期待されていますが、人混みを避ける、手洗いをする、外出時にはマスクをする等の予防策は大切です。
<関連サイト>
【 妊娠、授乳中の新型コロナワクチン接種について 】
厚生労働省HP:私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・日本産婦人科感染症学会からの妊婦の方々への提言
【 感染後のワクチン接種について 】
厚生労働省HP:新型コロナウイルスに感染したことのある人は、ワクチンを接種することはできますか
小阪産病院 2021年7月21日