8-10 months

妊娠後期(8~10ヶ月)

後期は安産のための補助動作の練習や妊婦体操を始めるころ。でも、お腹が一段と大きくなり、体に負担をかけてしまいがちなので、無理は禁物です。動きにはやさしい配慮をし、マイペースで続けましょう。

01【8ヶ月目】早産?あなたの注意で予防しましょう

8ヶ月を迎える頃から妊娠高血圧症候群になりやすいときです。体重の増加やむくみに気をつけてください。

妊娠22週0日~36週6日に生まれるのが早産。特に34週までに生まれた早産児は呼吸障害を起こす可能性があるため予防が必要です。


早産の原因は

● 筋腫、双角子宮、頸管無力症などの子宮の異常
● 多胎、羊水過多症、前置胎盤など胎児やその付属物の異常
● 膣内や子宮内の感染
● 妊娠高血圧症候群、慢性腎炎、心臓病などの母体の疾患
● ストレスや心身の過労

早産を予防するためには…

早産は早期に発見することで防止できるため、
次の症状がある場合には病院の指示を受けてください。

● ほんの少し出血がある
● お腹が張って下腹が痛む
● 水のようなものが流れる
● おりものが多くなった
● 赤ちゃんの動きが鈍い


02産科医療補償制度について

この度はご妊娠おめでとうございます。

新しい命の誕生…これほど幸せな瞬間はありません。幸いわが国は世界でいま一番安全な出産ができる国となりました。それでも、生まれて来る赤ちゃん千人のうち2人程度は、重い障害を抱えた脳性麻痺児となることも事実です。しかも脳性麻痺児の発生率は医学の進歩にもかかわらず減らないこともわかってきました。

そこで、日本医師会と日本産婦人科医会からの要請に対して国が応える形で、産科医療補償制度が発足し、脳性麻痺で苦しむ子どもさんとご家族を支援することになりました。
皆様が出産時に受け取られる出産育児一時金48万8千円に加えて、この制度のための1万2千円を、退院時に入院費用に加えてお支払いいただき、それを公益財団法人の日本医療機能評価機構と保険会社とがまとめて運用し、不幸にして重い障害を持った子どもさんとご家族に看護と介護の費用が補償金として支払われます。

また、その原因を分析し、より安全な出産のための改善に生かされることになっています。
欧米先進国ではすでに行われている産科医療補償制度がわが国でも公的支援により発足し、障害を持つ子どもさんとご家族のために役立つ制度であることをご理解の上、ご協力のほどお願い申し上げます。


03【9ヶ月目】マタニティライフ

赤ちゃんはすくすく育っています。それにつれてお母さんのおなかも大きくなり、動作は鈍りがち…。
油断していると体重が増え妊娠高血圧症候群や難産の原因となります。
異常のない限り、こまめにからだを動かし、お産にそなえて体力づくりをしましょう。

おなかが大きくなると動くのがおっくうになったりしますが、生活は規則正しく、リズムをつけて過ごしましょう。

同じ姿勢を長く続けたり、長時間立っていたり、下腹部に力を入れることは避けましょう。

遠方の郷里へ帰って出産される方は、9ヶ月目の後半までには帰ってください。飛行機の場合は予定日の28日以前が望ましいでしょう。それ以降は診断書と本人の同意書が必要になります。

上を向いても、横を向いてもおなかがつかえて眠れない。こんなときは“シムス氏の体位”を。どちらか好きな方を向いて横向きになり上になるほうの手と足は軽く曲げて後ろにひくと、らくになります。ひざの下にクッションを置いてみるのもよいかもしれません。


04妊婦体操

妊娠後半期は、いいお産をするための準備期間です。異常のない限り、こまめに体を動かして家事をしたり、分娩に役立つ体操をするなどして、普段からの体力づくりを習慣づけましょう。

骨盤底の筋肉を引き締める運動
朝・タ各10回ずつ

あおむけに寝てくるぶしで足を交差する。お尻をグッと引き締めて、太ももに力を入れながら両足を内側に向けてしぼり込む。次に骨盤底の筋肉(尿道・膣・直腸)を収縮させたまましばらく静止し、力を抜く。

あぐらを組む運動
1日2度各10回ずつ

あぐらを組んですわり、両膝を両手で静かに外側に押し倒していく。

骨盤をよじる運動
朝・夕各10回ずつ

枕をしてあおむけになり、片方の膝を立てて、足の裏は床につける。立てた膝をゆっくりと内側に倒す。左右交互に。

骨盤の振動運動
朝・タ各5回ずつ

よつんばいになり、頭をさげて背中を丸くする。次に頭を上げて、上体をそらしながら重心を前に移す。一呼吸してゆっくりともとの姿勢にもどる。

足の運動
1日数回・1日3分位

いすにこしかけて足を組む。上側の足先を上下にそらせたり、まわしたりする。

足の上下運動
1日数回・各5回ずつ

ひじをついて横向きに寝る。背すじを伸ばして体が一直線になるように気をつける。足首に力を入れてまっすぐ上げおろしする。左右交互に。


05Q&A

Q.最近便通がありません.薬は飲んでも大丈夫?

A.食事を工夫してもダメ、運動をしても出ない、という時は薬を使ってもOK。ただし市販薬を使う場合は、成分が妊婦に向いているかどうか分からないので、医師に飲んでも良いか確認をすると良いでしょう。便秘で薬を飲み続けても問題はありませんが、飲み過ぎには注意!ひどい下痢を起こすと子宮が収縮し、流・早産につながる心配があります。

Q. 腰痛がひどいのですが、病院へいったほうがいい?

A.原因としては大きくせり出したお腹の重みで、腰の関節が過労状態になったり、カルシウム不足で、骨盤のつなぎ目(恥骨結合、仙腸関節)等がゆるんで痛むためです。軽い時は妊婦水泳やエアロビクスで筋肉をほぐすのも良いでしょう。ひどい時は安静にしてカルシウム剤を使うことが効果的なこともあります。

Q.かぜをひいて頭がガンガン! 市販のかぜ薬や鎮痛剤を飲んでもいい?

A.市販薬には比較的安全な成分が配合されていますが、総合感冒薬は不必要な成分まで飲む可能性が高く、妊娠中には余りおすすめできません。
妊娠中は、かかりつけの産婦人科医に薬を処方して貰うのが原則です。
やむなく市販薬を利用する場合には、使用上の注意によく目を通して、妊娠中の使用が可能かどうか確認すること。

Q.温泉旅行したいのですが、「妊婦はダメ」って書いてある温泉もありますが、体に悪い?

A.妊娠中の体にだけ悪影響を及ぼす泉質というものはありません。
「妊婦さんの入浴は禁止」という注意書きは、あまり根拠がないのです。ただ、においのきついお湯で気分が悪くなることもあるので、硫黄などの温泉は避けたほうがいいかも知れません。
妊娠中はのぼせやすくなっていますし、洗い場などですべって転ばないように、気をつけてください。

Q. 抜歯をしなければいけないのですが大丈夫でしょうか?

A.抜歯をする必要があるなら、してもらってもかまいません。妊娠中は虫歯になりやすく、また虫歯が悪くなりやすいのでしっかり治療したほうが良いのです。お産の後は、子育てで忙しくなり、歯科に通うこともままならなくなりますから、今のうちに治しておくことが肝心です。抜歯というと麻酔薬などを使うのでご心配なのだと思いますが、抜歯で行う麻酔は局所浸潤麻酔といって、その部分だけ効果がある方法なので、赤ちゃんへの影響は、心配ありません。
痛み止めや、感染予防の抗生剤は、赤ちゃんへの影響の少ないものなら大丈夫です。早めに治療して、安心してお産に望めるようにしておきましょう。(最適な時期は妊娠4~6ヶ月の間で分娩期に入る前に終了することが望ましい)

Q. 妊娠中のセックスは、どんな事に気をつければいいの?

A..妊娠中は基本的に体調が良く、医師から注意を受けたりしていなければセックスしてもOKですが、いつもより清潔に気をつけ、ゆっくり、浅く、疲れないセックスを心がけましょう。また、特に不安定な初期のうちや早産の危険が増加する妊娠26週から33週頃までは、コンドームをつけた方が安心。精液の中には、子宮を収縮させるホルモンが含まれているからです。子宮を直接精子にふれさせないためにも、感染症を予防するうえでも、コンドームは必需品です。

Q. 張り止めの薬を飲み続けているのですが大丈夫でしょうか?

A.薬というと拒否反応を起こす妊婦さんも多いのですが、張り止めの薬のように妊娠を継続させるために必要な薬は、医師の指示に従って飲むことが大切です。
人によっては、張り止めとして処方される薬で動悸、手のふるえなどを感じることもありますが、別の薬に変えることもできます。自己判断で薬をやめたりせず、まずは主治医に相談してみてください。

Q. 妊娠中にインフルエンザワクチンを受けても大丈夫?もしかかったら?

A.妊娠中にインフルエンザにかかると重症化しやすいと言われています。
ワクチンは妊婦やお腹の赤ちゃんに安全かつ有効であるといわれていますので流行する前に受けましょう。家族の方も受けて頂くといいですね。
万一発症したら、他の妊婦さんにうつさないように、内科に受診しましょう。
そのためにあらかじめ受診する病院を決めておくと安心です。また、妊娠中でも抗インフルエンザ薬が効果的といわれ使用されています。


06いつ入院したらいいの?
お産が近づいています

10ヶ月目になり、お産が近づいてくると個人差はありますが、次のような前兆の後、分娩が始まります。
おりものが増える
トイレが近くなる
子宮が下がったような感じがする
お腹が時々固くなる
産徴(おしるし)(血性帯下・茶褐色の帯下)

〈前駆陣痛〉
お産が始まると起こる、子宮の規則的な収縮を陣痛といいます。この陣痛の起こる数日前から感じる収縮を前駆陣痛と呼び、規則的ではなく、しばらくすると痛みがなくなるのが特徴です。

こんな症状は入院が必要です

持続的な激しい痛みがある
生理以上の出血
胎児が全く動かない
破水(細菌感染の危険があるため、決して入浴しないでください)

お産がはじまっています

次のような症状が表れたら、いよいよ分娩の始まりです。
〈前駆陣痛〉
最初は収縮の時間が長く不規則だった陣痛が、しだいに短く規則的に起こるようになります。収縮が30~90秒続き、10分ごとに繰り返されるようになると分娩のはじまり。病院に連絡しましょう。分娩は予定日の前3週間、後2週間が正期産です。陣痛が起こらないといって慌てず、ゆったりした気分で待つことが大切です。


07妊娠高血圧症候群は妊娠後期に多い病気です

この時期最も注意しなければならないのが、未熟児、虚弱児、死産の原因になる妊娠高血圧症候群。
初期症状は軽く自覚できないので、早期発見のためにも定期検診は必ず受けてください。特に体重の増加には気を配りましょう。

こんな症状はありませんか?
●急激な体重の増加(500g以上/週)
●目がかすむ チカチカする
●頭痛がする 頭が重い
●血圧が高い
(最高140mmHg以上、最低90mmHg以上)
●むくみ
●尿量が少なくなる
●蛋白が出る

予防のための食事チェック

●間食が多い (YES/NO)
●辛い物、甘いものが好き (YES/NO)
●塩分を沢山とる (YES/NO)
●高カロリーのものをよく食べる (YES/NO)

YESの多い人は要注意。上記のものはなるべく控えるようにしましよう。食事についてはお気軽にご相談ください。


こんな方は一層の注意を

●腎臓病、糖尿病
●高血圧またはその家系
●肥満型
●塩辛いものが好き
●以前に妊娠高血圧症候群になった
●過労気味(疲れやすい)

注:妊娠中に高血圧、蛋白尿、むくみの出る状態は、これまで妊娠中毒症と呼ばれてきましたが、3症状のなかでも高血圧が最も問題であることから、平成17年から妊娠高血圧症候群と呼ばれることになりました。