8-10 months

妊娠後期(8~10ヶ月)Q&A

妊娠後期(8~10ヶ月)によくある質問、お問合せ、ご相談をまとめました。


01 ヒックヒックとシャックリのような胎動がある

一種の横隔膜の運動。赤ちゃんが元気に発達している証拠です。胎動は、直接お母さんが感じることのできる赤ちゃんからのメッセージ。ですから、いつもと違う動きを感じたりすると不安になりますね。
しかし、どんな動きであれ胎動を良く感じるのは赤ちゃんが元気な証拠と思って下さい。
むしろ、激しく動いたあと急にパタっと胎動を感じなくなった時は、要注意。すぐ受診することが大切です。
胎動の感じ方には個人差がありますから、同じように動いていても感じなかったり、逆に強く感じる人もいます。健診で順調と言われているなら、あまり神経質になることはないでしょう。

02 安静にするよう言われ張り止めのお薬をもらった。上の子に手がかかるがどの程度なら動ける?

上の子に手がかかる、そんな時には「安静にしていなさい」と言われても上の子供がいて、何かと手がかかり、静かにしていられない。そういうお母さんのお話しも良く伺います。
出血しているから入院をすすめても「入院できない」それは上の子の面倒を見なければならないから、なんですね。確かに電化製品などがどんどん進歩して家事における主婦の労働量が減ってきている現在、一番の労働は育児ではないでしょうか。
ちょっとおんぶや抱っこするといっても、1歳の子供は10㎏の重さです。いくら重い物を持つな、と注意しても、家で子供に抱きつかれたら、それ以上の負担になりますし、精神面でもストレスがたまります。
そこで「安静に」と言われたときには、育児をどう切り抜けるかが大きな問題になってくるのです。ここはご主人やお姑さんの協力を是非仰いで下さい。

03 骨盤位について

妊娠中に逆子と言われても、自然に胎児が回転して、分娩時に骨盤位なのは、5%前後と言われています。逆子を治す体操とか、外回転術といって、おなかの上から胎児を強制的に回転させる方法もありますが、効果がはっきりしなかったり、危険を伴うこともあるので、決定的なものはないといえます。
骨盤位でお産になりそうな時は、経膣分娩ができるのか、帝王切開をするのかを良く検討しなければなりません。赤ちゃんの育ち具合や、異常の有無、母体の骨盤の大きさと赤ちゃんの頭の大きさのバランス、骨盤の形、軟産道の柔らかさなどを調べ、危険がありそうな場合は、初めから帝王切開にします。途中で赤ちゃんの具合が悪くなったり、骨盤の途中で止まった時なども帝王切開になります。
経膣分娩の場合は、破水した時に臍帯下垂などの重篤な状態になりやすいので、陣痛が始まったら速やかに入院して分娩管理を受けましょう。お産は微弱陣痛になりやすいので、陣痛促進剤を使うことが多くなります。
初産の場合は、次回以後のお産のことも考えて、帝王切開は慎重に決めなければいけません。担当医の話を納得のいくまで良く聞きましょう。

04 抜歯について

抜歯をする必要があるなら、是非、してもらって下さい。妊娠中は虫歯になりやすく、また虫歯が悪くなりやすいので、どんどん治療した方がいいのです。お産の後は子育てで忙しくなり、歯医者さんに通うこともままならなくなりますから、今のうちに治しておくことが肝心です。
抜歯というと麻酔薬などを使うのでご心配なのだと思いますが、抜歯で行う麻酔は、局所浸潤麻酔といって、その部分にだけ効果がある方法なので、赤ちゃんへの影響は心配ありません。ただし、マスクをして、ガスを吸ってぼうっとなるようにする麻酔(笑気麻酔)はさけたほうがよいでしょう。痛み止めや、感染予防のための抗生剤は、赤ちゃんへの影響の少ないものなら大丈夫です。
早めに治療をして、安心してお産に望めるようにしておきましょう。

05 里帰り出産の帰省はいつ頃が良い?

一般に里帰りは妊娠32週から34週の間が多いようです。あまり遅くなると、途中で陣痛がついたり、破水するなどといった事故も起こりやすくなるので早めに帰省して下さい。できれば妊娠初期に一度、お産する所で受診しておいたほうが良いでしょう。
施設によって準備するものや必要な検査が異なることがあるので、あらかじめ良く連絡をとって、健診を受けている医療機関に伝えることが大切です。必ず、今まで診てもらっていたところの診療情報提供書(紹介状)をお持ちになって下さい。無断で受診先を変わることは、医療内容が伝わらないので、とても危険です。今までの経過を分娩施設によく解ってもらう必要があります。
帰省する時は、自宅に残るご主人との連絡方法も良く検討して下さい。緊急のことが起こった時に連絡がとれないと困ります。自動車に乗って帰省する場合は、必ず2時間に1回くらいの休憩を入れて、車内で横になれるくらいのスペースを確保して下さい。
長時間の乗車のあと、陣痛が来て、疲労のため難産になることもあるのです。また、妊婦健診で何か異常が見つかった場合は、里帰りはしない方がよいこともあります。あるいは、予定より早く帰るよう勧められることもあります。健診は欠かさず受けるようにしましょう。

06 風邪薬を飲んでも良い?

熱が出てきた、咳が止まらない等症状が重くなったと感じたら、内科やかかりつけの産婦人科を受診しましょう。病院で出す薬は、妊婦さんに安全性の高いものなので、適切な処方ができるからです。

07 妊娠8ヶ月で体重が10㎏も増えてしまった。お腹がよく張るため運動ができないが、食事で体重をコントロールするしかない?

この時期で体重が10㎏増加となると、太り過ぎが心配ですね。つわりであまり食べられない頃は、少量でも1日に何回かに小分けにして食事を摂るように指導することがあります。
ただ、つわりが終わってもそのような食事法を続けていると、知らず知らずの内に1日に摂る食事量がかえって多くなってしまうことがあり、そのため太ってしまったのかも知れません。特に、むくみなどの症状も出ていないようですし、やはり食べ過ぎで体重が増えてしまったのでしょう。
一度普段の食生活をきちんと見直してみて下さい。お腹が張りやすいのなら、あまり動いたりしない方がいいですね。具合のいいときは散歩などをしてもいいですが、体重のコントロールは食事を主体に考えましょう。1日3回の食事に戻し、1回の食事量も減らしましょう。
高タンパクで低脂肪の食品を摂るようにして下さい。また、気をつけたいのは、飲み物。清涼飲料水やジュース類などは意外とカロリーが高いので飲むならお茶がおすすめです。

08 便秘がひどい、薬を続けて飲んでも良い?

妊娠すると、体の中のホルモンがふえることによって腸の動きが悪くなりやすく、子宮が大きくなって腸を圧排するため便秘になりやすくなります。
便秘がひどい場合は下剤を飲んでもあまり心配ありません。しかし、強い下剤や量を多く飲みますと下痢を起こし、その刺激で子宮の収縮が起こって、切迫流産や切迫早産といって、流産、早産になりやすい状態になることがありますので、下剤を飲む場合には、どんな種類の下剤か、また量はどのくらいであるか相談して下さい。
妊娠中飲む下剤では、胎児に奇形を起こさせたり、悪影響はないと考えて良いと思います。

09 おしるしがあったが陣痛がこない。トイレに行く度に少量の出血がある。

出産が近づいたことで、子宮口が開き始め、それまで子宮頸管をふさいでいた粘膜が血液やおりものといっしょに出てきます。これがおしるし。1回で終わる人や出たり止まったりをくり返す人もいます。
また、そこから出産にかかるまでの時間も人それぞれで、陣痛がきてからおしるしがくる人もいれば、2~3日後に陣痛がくる人も。胎動に注意しながら入院のタイミングを待ちましょう。

10 破水かお小水かわからないがおりものが多い

できるだけ早く受診して、破水かどうかをチェックしてもらう必要があります。破水と診断された時は、入院が必要になります。
妊娠後期であれば、破水後しばらくして自然に陣痛が始まることが多いのでそれを待ちます。12~24時間程待っても陣痛が始まらないときは、お薬で陣痛を起こすこともあります。
破水が起こって時間が経つと細菌感染が起こりやすく、適切な時間内に分娩を終了させる必要があるからです。
まだ出産の時期でない場合(35週以前、施設によって基準が異なることがある)は、破水後の感染と陣痛発来を予防しながら経過をみます。
感染の有無や、妊娠週数などによって、分娩にするか妊娠を継続させるかを決めますが、この判断は医師に任せましょう。一方破水でないと診断された時は、自宅に帰れます。
膣炎や頸管炎などで分泌液が増加している時は、その治療が必要ですが、そのようなことがなくても、妊娠中、特に末期には分泌液が増加しますのでそのせいかも知れません。この場合は何も心配いりません。

11 予定日になってもお産が始まらない

予定日はあくまで目安ですから、心配ありません。妊娠37週から42週までにお産になることを正期産といいますが、その範囲内の分娩であれば赤ちゃん、お母さんとも特別な問題はありません。
実際、当院でも4割以上の人が予定日を過ぎてからお産になっていますが、お産の時間や、出血量、赤ちゃんの元気具合などに問題はありませんでした。
したがって、きちんと健診を受け、今までどおりの生活を続け、陣痛が始まるまで待ちましょう。

12 前回帝王切開だと今回の分娩様式はどうなる?

前回のお産が帝王切開だった時、次のお産は帝王切開しなくて、経膣的に行えるのかどうかという問題は単純なものではなく、色々な問題点があります。
前の帝王切開の原因が骨盤の変形だとか、大腿骨の異常などで、どうしても、経膣的にはお産ができないというものであれば、今回のお産もやはり帝王切開しなくてはなりません。
しかし、前の帝王切開の原因が胎児仮死であったり、お産が長びいたためであったり、前置胎盤のためだったなどという一般的な産科の原因であれば経膣分娩はできることもあります。
ただ、帝切後の経膣分娩にはいくつかのリスクがあります。一番こわいのは子宮を切った部分の破裂(子宮破裂)です。子宮破裂が起こった場合、胎児生存は期待できず、大量出血から母体死亡に至る危険性があります。また、胎児娩出後の出血多量ということも起こり得ます。
ですから、母児双方の安全のために今回の分娩方法として帝王切開を選択することが一般的です。当院でも前回帝王切開をされた方は、今回も帝王切開を選択して頂いています。

13 超音波検査で羊水量が少ないと言われた

妊娠後半期の羊水は赤ちゃんの尿なので羊水量は赤ちゃんのする尿量で決まります。
からだの大きい赤ちゃんはおしっこをたくさんするので羊水量も多くなります。また、少し発育の遅れている体重の少ない赤ちゃん、つまりお母さんの血圧が高かったり、病気のために正常の体重より少ない赤ちゃんでは尿量が少なめなので羊水量は少なくなります。
超音波の検査で羊水量は多いか少ないかをはかることができるので、少ないと思われる時は計測します。ときには、赤ちゃんが少し元気がなくなると尿量が減ってくることもあるので、赤ちゃんの元気さかげんの診断に羊水量をはかることもあります。
実際に羊水量が少ないという結果がでた時には、他の検査、例えば赤ちゃんの心拍数をみたり、血流をはかったりして総合的に発育や元気かどうかを判断していきます。そして、少し早めに生ませたほうがよいという結論がでたら、分娩を早めたり、ときには帝王切開で生ませることもあります。
しかし、こんな場合は非常に少なく、実際には羊水量は少しぐらい少なくても、次の週にはふえていることも多いので、赤ちゃんが正常に発育しているならそんなに心配することはありません。

14 貧血と言われたが薬は飲みたくない

妊娠後半期には大きくなった子宮へ多量の血液を送り込むために血液中の水分が妊娠前の40~50%も増えるので、血液の全体量はその分だけ水で薄まった状態で増加します。これを水血症になったといいますが、赤ちゃんの発育やお産の時の出血対策にとても必要な大切な生理的現象なのです。
ですから、妊娠後半期の血液を採って多くのものを検査してみると、正常例ではみんな量が少なく、薄まったようにみえます。血液中の鉄分も同様に薄まり、一見したところ鉄分が少ない鉄欠乏性貧血になったような気がするのです。
したがって妊娠前のように、血液中のヘモグロビン値だけをみて貧血の診断をすることはできなくなります。そこで血清の中の鉄分の量を測定したり、赤血球の容積を計測したり、1個の赤血球の中に入っているヘモグロビン量を測定したりしないと本当に鉄分が少ないかどうかわかりません。本当にこれらの成分値も低く出れば、その妊婦さんは鉄分が減少していて鉄欠乏性貧血、いわゆる妊娠性貧血、妊婦貧血だとはじめて診断されます。
普通は食事療法で大丈夫です。鉄分の多いものを食べましょう。赤身の牛肉、豚の肉、お魚、緑の野菜(ほうれん草、小松菜)などを積極的にとるようにして下さい。昔からレバーがよいといわれていますが、嫌いな方はレバーより緑の野菜で十分です。このような食事療法は鉄剤を服用するのと同等の効果があります。
しかし、鉄剤を飲んだほうがよい時もありますので、医師の指示があれば服用して下さい。鉄剤を飲む方も食事療法は必要で、両方を同時に実施すれば効果はより上がるでしょう。
いつ頃まで服用するかは医師の指示に従いましょう。

15 妊娠高血圧症候群の場合、日常生活では何に気をつけたらよい?

妊娠高血圧症候群がこわいのは、血圧が上昇することと、胎盤機能が低下し、赤ちゃんの成長に悪影響が出ることです。その予防と対策は低塩分、高タンパク、低カロリーの食事と安静にしていることです。
塩分は1日7g以下に押さえること。ナトリウムが含まれているという点で化学調味料やイオン補給飲料水は摂取しないほうがよいでしょう。
摂取カロリーは1日1600~2000kcalくらいにしますが、良質のタンパク質、植物性脂肪、ビタミンやミネラルは十分とって下さい。特に魚や豆類などのタンパク質を、1日80~90gはとるようにするといいでしょう。
睡眠は最低8時間はとり、昼間も1時間は横になって休むようにし、疲れすぎないようにしましょう。

16 腰痛を治すにはどうすればよい?

妊娠中の腰痛はホルモンの影響などが複雑に関与していますから、完治する方法はありません。ただ、ラクにする方法はあります。
まず第一に、血行をよくすること。ぬるめのお風呂にゆっくり入って腰をあたためたあと、仰向けになって腰の下にクッションをあてがうと、背骨が伸びてかなりラクになりますよ。ご主人に腰をマッサージしてもらうのもいいでしょう。
妊婦帯を巻いて腰とお腹を固定すると、腰痛がやわらぐという人もいます。ただし、あまりきつすぎると子宮が圧迫されて血行が悪くなり、逆効果になるので要注意。お腹を支えるような形で、あまり上まで巻かないようにして下さい。
普段の姿勢も肝心。歩くときは背骨をまっすぐに伸ばすよう心がけて、家事をする時は中腰の姿勢を避け、高いイスに腰掛けながら仕事をすればかなりラクですよ。時間があるならマタニティスイミングで筋肉を鍛えるのも有効です。

17 手がしびれて思うように動かない

むくみによるもので、この時期には起こりやすいものです。こうしたしびれは一時的なもので、産後、むくみがとれれば自然になおります。
妊娠中の対策としては、塩分をとりすぎないようにすること。そして、多少痛んでも、手を閉じたり開いたり、手首を回したり、指を振るなどの軽い運動をすること。また、手首から指先に向かってマッサージをするのもいいでしょう。
無理をせず横になる時間をふやすことも大切です。腎臓に行く血液量が増加し、むくみが改善されるからです。

18 双胎のため入院と言われた

双胎の場合、赤ちゃんが1人の場合に比べ、母体にも赤ちゃんにも合併症が起こりやすくなります。
母体は妊娠高血圧症候群や、貧血、早産、羊水過多症等などになりやすく、赤ちゃんに関しては、子宮の中での発育が悪くなったり、未熟児であったり、お産の時仮死になったりする危険があります。
中でも早産は最も重大な合併症で、赤ちゃんの合併症も早産によって引き起こされるものが多いのです。したがって、早産の予防が大変重要になります。
そのためには、入院して安静にするのが最も効果的です。安静を保つことにより、赤ちゃんの発育を助けることにもなります。入院の時期や期間は、それぞれ違ってきます。
一卵性といわれている場合は、リスクが高くなることがあるので、入院が必要となるケースが多いでしょう。よく担当医の説明を聞いて、治療の時期を失わないようにしましょう。

19 カンジダ膣炎について

カンジダ症は、妊娠中にはよくある感染症で、特別怖いものではありませんが、まれに子宮内に感染して早産の原因になったり、お産の時に膣内に残っていると、赤ちゃんにうつることがありますから、今のうちに治しておきましょう。
治療法は、受診して膣内の洗浄と膣坐薬の投与を受け、外陰にクリームを塗ることです。妊娠中は再発しやすいので、治ったと思っても、勝手に治療を中断せず医師の指示に従って下さい。

20 引っ越しをしたい

引っ越しは、日常生活と違って、格段に多くの体力や気力が必要になります。ですから、なるべく妊娠の安定した時期を選びたいものです。妊娠初期は胎盤が完成していないので、流産しやすいですから避けたほうがいいでしょう。
妊娠32週以降(妊娠9ヶ月以降)は早産になりやすく、また、妊娠後期になるといつお産が始まってもおかしくないわけですから、やはり引っ越しは避けたほうがいいでしょう。妊娠4~8ヶ月の間が比較的無難ですが、できるだけ周囲の人にやってもらいましょう。
引っ越す前には、妊婦健診を受けて、異常がないかどうか確認してもらって下さい。切迫流早産や前置胎盤、頸管無力症など何か異常が見つかった場合には、安静が必要なことがあります。